ホームズとワトソンがキャンプに行った。
夜ワトソンが寝ていると、ホームズにつついて起こされた。
「ワトソン君、空を見上げてみたまえ。何が見えるかね」
「数え切れない程の星が見えるよ」
「その事実から君は何を考えるかね」
「天文学的に言うなら、恒星は数え切れない程あって、惑
星はそれ以上あるという事。また、占星学的に言うなら、
土星は獅子宮にあるね。時刻のことを言うなら、星の位置
からだいたい3時15分すぎくらいだろう。神学的に言うなら、
神は全能で我々はちっぽけで無力だ。天気予報をするなら、
明日はいい天気というわけにはいかないだろう。で、君な
ら何を考えるというんだい」
ホームズは少し黙ってこう言った。
「ワトソン君、君は信じられないくらい間抜けだな。テントが
盗まれたんだよ」